SESと派遣の違いとは?報酬条件やメリット・デメリットを解説

IT業界では慢性的な人材不足が続いており、企業にとってエンジニアの確保が大きな課題となっています。そんな中、注目を集めているのが派遣エンジニアとSES契約による人材活用です。本記事では、これら2つの契約形態の違いや特徴、メリット・デメリットについて詳しく解説します。
<この記事で紹介する3つのポイント>
- 派遣とSES契約の基本的な違いと特徴
- 両契約形態におけるメリットとデメリット
- 人材活用における法的規制や最新のトレンド
目次
派遣エンジニアとSES契約の違い

エンジニアの人材不足をカバーする方法として最近注目を集めているのが、派遣エンジニアとSES契約という2つの選択肢です。これらは一見似ているように見えますが、実際には大きな違いがあることをご存知でしょうか。ここでは、それぞれの特徴と違いについて詳しく解説します。
派遣とは何か?
派遣とは、派遣会社と雇用契約を結んだ労働者が、派遣された企業の指揮下で働くという形の労働契約です。労働者派遣法に基づいて行われ、派遣元企業、派遣先企業、労働者の三者間の関係で成り立ちます。
派遣の種類は、常用型派遣と登録型派遣の2つです。それぞれの特徴を見ていきましょう。
常用型派遣とは?
常用型派遣は、派遣会社が労働者を正社員または無期雇用契約社員として雇用し、派遣先企業に送り出す形態です。派遣先での就業期間が終了しても、派遣会社との雇用関係は継続するため、雇用が安定しています。派遣先企業との契約が終了し、派遣会社が次の就業先を探す間も労働者には給与が支払われるのが大きな特徴です。福利厚生や教育研修制度が充実している派遣会社も多く、エンジニアのキャリア形成に有利な面があります。
登録型派遣とは?
登録型派遣は、派遣会社に登録している労働者を、派遣先企業からの要請に応じて雇用契約を結び、派遣する形態です。派遣期間が終了すると、派遣会社との雇用契約も終了します。この形態は柔軟な働き方が可能で、短期間のプロジェクトや、繁忙期の人材補充などに適しています。ただし、派遣期間外は無給となるため、収入が不安定になりやすいです。
また、労働者派遣法により、原則として同一の組織単位に対して3年を超えて派遣することはできません。この点は、人材の長期的な活用を考える際に注意が必要です。
SES契約とは何か?
SES(System Engineering Service)契約は、準委任契約の一種で、エンジニアの労働力を提供するサービスです。派遣との大きな違いは、エンジニアへの指揮命令権がSES企業にあることです。SES契約では、クライアント企業はSES企業に業務を委託し、SES企業が自社のエンジニアを使ってその業務を遂行します。エンジニアはクライアント企業に常駐することが多いですが、法的にはSES企業と雇用契約を結んでいるため、SES企業から業務の指揮を受けるという流れです。
クライアント企業は必要なスキルを持つエンジニアを柔軟に活用できる一方で、直接的な指示ができないという制約があります。また、労働者派遣法の適用外であるため、3年の期間制限はありません。
請負とSES契約の違いは何か?
請負とSES契約は、どちらも外部の業者に業務を委託するという点で似ていますが、重要な違いがあります。
請負は、発注者から委託された仕事の完成を約束する契約です。成果物の納品が前提となり、その品質や納期に対して請負業者が責任を負います。対価は成果物に対して支払われるため、作業時間や人数は関係ありません。
一方、SES契約は労働力の提供が主な目的です。成果物の完成義務はなく、エンジニアの稼働時間に応じて対価が支払われます。また、SESでは業務の進め方や手法についてクライアント企業と協議しながら進められることが多いのに対し、請負では請負業者が独自に判断して業務を進めることができるのが大きな違いです。
このように、派遣、SES契約、請負はそれぞれ異なる特徴を持っています。エンジニアの採用を検討する際は、プロジェクトの性質や期間、必要とする管理体制などを考慮し、最適な形態を選択することが重要です。また、法的な側面にも注意を払い適切な契約形態を選ぶことで、トラブルを避け、効果的な人材活用が可能となります。
派遣とSES契約のメリット

エンジニアの人材確保には様々な方法がありますが、派遣とSES契約はそれぞれ独自のメリットを持っています。これらの特徴を理解することで、自社のニーズに合った最適な人材活用方法を選択できるでしょう。ここでは、派遣とSES契約それぞれのメリットについて詳しく解説します。
派遣のメリットとは?
派遣には、企業にとって以下のようなメリットがあります。
- 迅速な人材確保:派遣は、急なプロジェクトの立ち上げや欠員補充などに迅速に対応できます。派遣会社が事前に人材をプールしているため、短期間で必要なスキルを持つエンジニアを確保することが可能です。
- 採用コストの削減:正社員の採用には、求人広告や面接など多くのコストと時間がかかります。派遣の場合、これらの採用プロセスを派遣会社が担当するため、企業側の負担は大きくありません。
- 雇用調整の柔軟性:プロジェクトの規模拡大や縮小に合わせて、比較的容易に人員を増減することができます。人件費の最適化が図りやすいです。
- 専門スキルの活用:特定の技術や経験を持つエンジニアを、必要な期間だけ活用することができます。自社で育成するのが難しい専門性の高いスキルを持つ人材を、効率的に活用できる点が大きな利点です。
- 直接的な指示が可能:派遣エンジニアは派遣先企業の指揮命令下で働くため、業務の進め方や優先順位について直接指示を出せます。自社の正社員と同様に、プロジェクトにスムーズに組み込むことが可能です。
- 正社員化の可能性:優秀な派遣エンジニアを見出した場合、派遣期間終了後に正社員として採用することも可能です。これは、長期的な人材確保の観点から有効な選択肢となります。
SES契約のメリット
続いて、SES契約のメリットを挙げます。
- 長期的な人材活用:労働者派遣法の適用外であるため、3年という期間制限がありません。長期的なプロジェクトや、継続的な技術サポートが必要な場合に適しています。
- 一括した業務委託:SES企業がプロジェクト全体の管理を担当するため、企業側の管理負担が軽減されます。特に、複数のエンジニアが必要なプロジェクトの場合、この利点は大きいです。
- 高度な専門性:SES企業は特定の技術分野に特化していることが多いため、高度な専門性を持つエンジニアを確保しやすいです。最新技術の導入や、特殊なスキルが必要なプロジェクトに適しています。
- 柔軟な契約形態:プロジェクトの進行に応じて、必要なスキルセットを持つエンジニアを柔軟に組み替えることが可能です。プロジェクトの各フェーズで最適な人材を活用できます。
- 責任の明確化:業務遂行の責任がSES企業にあるため、品質管理や納期管理についてSES企業と明確な取り決めができます。プロジェクトのリスク管理がしやすいです。
- 偽装請負のリスク回避:SES契約では、クライアント企業からエンジニアへの直接指示はできません。適切に運用すれば偽装請負のリスクを回避できます。
- 技術力の補完:自社にない技術力をSES企業のエンジニアが補完することで、新規事業の立ち上げや新技術の導入がスムーズに行えます。
このようにそれぞれメリットがあるため、プロジェクトの性質や自社の状況に応じて、派遣とSES契約を使い分けることが重要です。短期的な人材需要や直接的な指示が必要な場合は派遣が、長期的なプロジェクトや高度な専門性が求められる場合はSES契約が適していると言えるでしょう。
また、これらの契約形態を併用することで、より柔軟な人材活用が可能になることも多いです。プロジェクト規模や状況に応じて最適な方法を選択し、効果的なエンジニアリソースの確保と活用を実現することが、プロジェクトの成功につながります。
派遣とSES契約のデメリット

人材活用の手段として派遣とSES契約にはデメリットも存在します。デメリットを理解した上で、自社の状況に応じた適切な人材活用方法を選択することが重要です。
派遣のデメリットは何か?
派遣契約のデメリットとして、以下のようなものがあります。
- 契約期間の制限:労働者派遣法により、同一の組織単位での派遣期間は原則3年です。長期的な人材活用を考える場合、この制限が障壁となる可能性があります。
- コストの増加:派遣料金には派遣会社のマージンが含まれるため、直接雇用と比較すると割高になりやすいです。特に高スキルのエンジニアの場合、このコスト差が顕著になる可能性があります。
- 帰属意識の低下:派遣エンジニアは自社の正社員ではないため、会社への帰属意識が低くなる場合が少なくありません。長期的なプロジェクトでのモチベーション維持が難しくなる場合があります。
- 機密情報の取り扱い:派遣エンジニアは短期間で異動する可能性があります。機密性の高い情報を取り扱う業務を担当させる場合は注意が必要です。
- スキル伝承の難しさ:派遣エンジニアが持つ知識やスキルを社内に定着させることが難しく、長期的な技術力の向上につながりにくい面があります。
SES契約のデメリット
一方SES契約の場合のデメリットは下記のような点が挙げられます。
- 直接指示の制限:SES契約では、クライアント企業から派遣エンジニアへの直接指示は禁止です。細かな作業指示や急な変更への対応は難しい場合があります。
- コミュニケーションの複雑化:SES企業を介してのコミュニケーションとなるため、情報伝達に時間がかかったり、意図が正確に伝わりにくくなったりする可能性があります。
- 品質管理の難しさ:成果物の品質はSES企業に依存します。クライアント企業が直接的に品質をコントロールすることは難しいです。
- コストの不透明性:工数ベースでの請求となるため、プロジェクトの進捗が遅れた場合にコストが増大するかもしれません。また、実際の作業内容とコストの整合性を確認しづらい面があります。
- 契約の複雑さ:SES契約は準委任契約の一種であり、契約内容や責任範囲の設定に専門的な知識が必要となります。適切な契約を結ぶためには、法務部門との連携が不可欠です。
派遣契約は最長でどれくらい?派遣を利用する企業が知るべき3年ルールとは?
派遣契約の最長期間は、原則として3年です。これがいわゆる「3年ルール」と呼ばれるものです。
3年ルールのポイントとしては以下のような点です。
- 同じ部署で3年を超えて派遣社員を使い続けることはできません。
- 3年経った後も派遣社員を使い続けたい場合は、正社員として雇うか、別の部署に移動させる必要があります。
- 労働組合などの意見を聞いて延長する場合、最長でさらに3年延長可能です。
企業は、この3年ルールを考慮して人材活用の計画を立てる必要があります。
開発リソース不足を解消する方法:オフショアや多様な人材の活用
開発リソース不足を解消するには、さまざまな方法があります。よく利用されるのは、オフショア開発を活用し、海外の開発チームと協力することで人材不足とコスト削減を同時に解決する方法です。プロジェクトごとに専門性の高いフリーランスエンジニアを雇う方法もあります。副業人材の活用も有効で、他の会社で働いている人が副業として開発に携わる形式を取り入れることができます。
社内リソースを活用したい場合は、社員のスキルを向上させて有効に活用することが重要です。リモートワークやフレックスタイム制などの柔軟な働き方を導入し、優秀な人材を新たに確保するのもよいでしょう。大学との連携により、最新の技術や若い人材を活用する方法も選択肢のひとつです。
同一労働同一賃金がエンジニアに与える影響とは?
同一労働同一賃金の原則は、エンジニアの働き方や待遇に大きな影響を与える可能性があります。まず、派遣エンジニアや契約社員の待遇が正社員に近づく可能性が高く、全体的な待遇を改善しやすいです。雇用形態による待遇の差が小さくなるため、エンジニアにとってはさまざまな働き方を選びやすくなり、転職のハードルが下がるかもしれません。
「同じ仕事なら同じ給料」という考え方が強くなるため、スキルをしっかり評価する仕組みがより重要になります。人件費の面では、派遣エンジニアの人件費が上がり、正社員との差が小さくなる可能性が高いです。一方で、待遇が良くなるため優秀なエンジニアの獲得競争が激しくなることもあり得ます。
これらの影響を考慮して、企業は公平で分かりやすい評価・報酬制度を作ることが必要です。同一労働同一賃金の原則は、エンジニアの労働市場に大きな変化をもたらす可能性があり、企業側も適切に対応していくことが求められます。
まとめ
派遣エンジニアとSES契約は、それぞれ異なる特徴を持ち、企業のニーズや状況に応じて選択することが重要です。派遣は直接指示が可能で迅速な人材確保ができる一方、SES契約は長期的な活用や高度な専門性を求める場合に適しています。どちらを選択する場合も、法的規制や契約形態の特性を十分に理解し、適切に運用する必要があるでしょう。
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【筆者・監修者企業】
【筆者・監修者企業】
「世界で一番社会を変える会社を創る」というビジョンのもと、WEB事業、人材事業、医療事業を中心に多角的に事業を展開し、世界で一番社会貢献のできる会社を目指しています。時代の変化に合わせた新規事業を生み出しながら世界中を変革できる「世界を代表するメガベンチャー」を目指し、日々奮闘しています。